since 2005年8月12日
※目が覚めた時に背中から抱きしめられてて一瞬久保ちゃんか滝さんか悩んで、あ、久保ちゃんか、ってなる時任の話。
覚醒しきれない微睡みのまま背中に感じる温もりの心地良さに、ただ意識を漂わせる。
誘われるまま再び深い眠りに身を任せようとした、その瞬間。
「……誰だっけ」
この、やんわりと自分を抱き込む腕の主は久保ちゃんか、それとも滝さんか。
どっちもあり得るから始末が悪い。
ぼんやりと寝る前の記憶を手繰り寄せる。
「あ、久保ちゃんか」
思い出した。うん、昨夜は確かに久保ちゃんだった。
はっきりそう確信した途端に感じる、慣れたセッタの匂い。
項にかかる吐息とそこをなぞる濡れた舌の感触、押し当てられた歯の痛み。
耳元で切羽詰まった様に「時任、」と囁く掠れた声まで一緒に思い出して、甘い痺れが腰を覆った。
そっと首の後ろを指先で探る。
鬱血痕なんて可愛らしいもんじゃない、きっとそこには生々しい歯型が残ってる。
手酷い抱き方をしてくれた割にこうして背中から回された腕は驚く程優しい。
「時任」
呼ばれて、閉じかけた目を無理矢理抉じ開けた。
腕の中で身体を半回転させ、正面から目を合わせる。
「おはよ、久保ちゃん」
正解である事に安堵した。
『久保ちゃんだと思ったら滝さんだった』ver.を、ななお様が書いて下さいました。
→【他人のベッドで見る夢は。】