predation

「おー、すげー!ふっかふか!」
「そうかぁ?そんなに良いもんじゃないと思うけど」
「ウチのに比べたらずっとマシだっつの」

滝沢は苦笑を浮かべながらも、ごろごろと寝心地を確かめる様にベッドに懐く時任を複雑な気分で眺めた。
時任はシャワーを浴びたばかりで髪が湿ったままだ。
動く度にじわりと枕に水滴による染みが広がる。

「ほら、人んちのベッドで遊んで無いでさっさと退いた退いた」
「何で?」
「無防備に男のベッドなんかに上がり込んだら何されても文句言えないよ?」

自分に向けられる好意の種類が決して純粋な友情や興味だけで無いと分かっているのだろうか?

「あのさぁ、滝さん」
「んー?」

時任は何処か呆れた様な、それでいて壮絶な色香を含んだ瞳を滝沢に向けた。
艶やかな笑みに捕らわれる。

「俺が喰うのに誰が文句言うんだよ?」

自分が必死で守って来た一線を越え、平気で土足で踏み込んで来る時任に。
ああ、喰われるな、と。
酷い眩暈に襲われた。

凛輝様より頂きましたSS『マットレスと頭痛』より派生