マットレスと頭痛

ぼふん
勢い良く時任はベッドにダイビングする。
そのまま体ごと沈んでしまいそうな柔らかい感触が肌に馴染むのか、顔を埋めたり身体を浮かせたりと猫の様にじゃれつく。
その度に「すげーすげー」とはしゃぎ声を上げる

「マットレスと枕、硬かったから買い換えたんだよね。今流行りの低反発に」

久保田はベッドの縁に腰を降ろして、はしゃぐ時任を何処か微笑ましそうに見守る。しかし

「滝さん家のベッドのが柔らかかったぐらいだしな」

と云う言葉に一瞬で凍り付く。
ここのところ帰宅が遅い、または帰らないと思ってたらそんなところで油を売ってたのかと思うと頭が鈍く痛む

「何それ聞いてないよ」
「言ってねぇし」

ところが時任はあっけらかんと、全くこれっぽっちも反省していないかの様に答える。
益々頭痛が酷くなった。新しいマットレスと枕でもすぐに治るのか怪しいところだ

「けどこれなら滝さん家行く必要無くなりそうだな」
「まず行く事が間違いだからね。男のベッドへ気軽に寝るもんでもないけどね。で、その理由は?」

枕からちらっと切れ長の目を、やたらぎらぎらと輝かせながら時任は嗤う

「仮に俺が組み敷かれたとしても、この柔らかさ利用して久保ちゃんを攻めれる」

ほしと吸血鬼/凛輝様