since 2005年8月12日
「なあ、久保ちゃん」
「ん?」
深夜を過ぎたベッドの中。
抜けきれない情事の余韻の中を揺蕩うように微睡んでいた久保田に、一足早くソコから抜け出したらしい時任が、やはりどこか気怠さを含んだ声を擦り寄ったまま耳元に響かせた。
「今日、久保ちゃん誕生日だろ。つーか、覚えてた?」
「あー……うん、いま思い出した」
「ダメじゃん。自分の誕生日くらい覚えとけっての」
拗ねた物の言い方の割に、その声は何処か甘く溶けるように脳まで響く。
「なーに時任、だからお前からお誘いかけてくれたの?」
「べつに?」
揶揄いを含んだ声を時任はさらりと受け流すと、尚も擦り寄り半ば上から伸し掛かるように久保田に抱き付いた。
「今日は一日久保ちゃんが俺の為にしたい事をさせてやる」
「何それ。普通は俺が時任にして貰いたい事をして貰うんじゃないの?」
「それじゃ普通すぎてつまんないだろ?」
久保田を見下ろす挑発的な色を携えた瞳と笑みを刻んだ唇に、再び手を伸ばしかけた所でするりとかわすように逃げ場のない狭いベッドの上を転げた。
簡単に捕らえてその身体を押さえ付ければ、時任の指が誘うように腕に絡む。
「ホラ、久保ちゃんが俺の為にしたい事、」
早くシてよ。
Happy Birthday!