sharp pain

不自然な程、唐突にゲームを切り上げて。
不思議そうな表情を浮かべる久保ちゃんに無理矢理な笑顔を作ってリビングから逃げ出した。
寝室に入ってベッドに直行した途端、胃の辺りに感じてた不快感がはっきりとした症状になって現れた。
猛烈な痛みと吐き気。
背中まで突き抜けるような鋭い痛みを、ベッドの上で丸まって堪える。

「時任……?」
「っ、」

返事の代わりに漏れるのは、小さな呻き声だけ。
慌てて口を閉じれば、ベッドがちょっとだけ軋んで、久保ちゃんが腰掛けたのが分かった。

「ちょっとごめんね」

小さく断ってから、そっと毛布の端が捲られて。
服の上から探る様に動いてた手が、ちょうど胃の辺りで止まってふと力が抜ける。

「ここ?」

無言で頷けば、そう、とだけ呟いて。
撫でる訳でも擦る訳でも無くただ手を当てられた、それだけで痛みがだいぶ和らぐ気がした。

「久保ちゃん」
「ん?」

それでも冷や汗までは引かなくて。
震える声を無視して意識的に明るい声を出す。

「今日、カレー以外のもんが食いたい」
「うん……たまにはお粥なんてどう?」
「ちゃんと玉子入ってるやつな」
「注文多いね」

久保ちゃんがそう言って苦笑を浮かべても、ちゃんと叶えてくれる事を知ってるから。
今はただ大人しく、痛みが退くのを待つばかり。