お昼寝タオル

雨の日にしか出来ない得がある。

「あ、乾燥機止まった」

洗面所の方から聞こえた小さな電子音に久保ちゃんが立ち上がる。
俺はやり始めたばかりのゲームを早々に消して、久保ちゃんが乾き上がった洗濯物を抱えながら器用にドアを開けるのをじっと待つ。

「久保ちゃん」
「ん?ああ、ちょっと待ってね」

久保ちゃんは心得たように笑うと、抱えた山の中から適当なバスタオルを一枚引き抜く。

「はい、どーぞ」
「サンキュ」

受け取ったバスタオルは期待通りに暖かくてフカフカで、文句なし。
満足してソファーに寝転がり、久保ちゃんに一言釘を刺す。

「起こすなよ」
「分かってます」

久保ちゃんがもう一度笑って洗濯物を畳み始めたのを見て。
俺は手にしたバスタオルに顔を埋めて目を閉じた。

それは雨の日だけのお楽しみ。