要は、構って欲しいだけなのだ、と。

「……寒い」
「寒い?」

不意に漏らされた一言に、久保田は読んでいた雑誌から顔を上げる。

「……そんなに寒くないよ?特に今日は」

外の気温は昨日までに比べれば大分高い方だし、このリビングだって暖房が効いている。
おいで、と手招きすれば素直にすり寄って来る時任に微笑を浮かべながら、その頬に手を滑らせる。

「ほら、寒いって言う割には体温高いし。俺よりあったかい位よ?」
「……でも寒いもん」
「そう?それは、困ったね」

むくれる時任とは対照的に、久保田は更に笑みを深めた。