まどろみ

暖かいベッドの中でつい、うとうとと。
起きようとしていた時間をとっくに過ぎた時計はこの際、見ないフリ。

「ときとー、溺れてない?」
「バーカ。なんでベッドで溺れるんだよ」
「ああ、溺れるのは夜だけだった?」
「久保ちゃんサイテー」
「ごめんね」

背を向けてしまった時任の髪に指を絡め、「だって、いつまでも起きてこないから」と続けた。

「からだ、辛いの?」
「べつに。そーじゃねーけど……」

髪を梳くように撫でる久保田の手の心地よさに目を細める。

「ね、時任。今日、何がしたい?」

クリスマス。
久保田の問いかけに、返ってくる言葉は無い。
そっと時任の顔を覗き込むと、穏やかな寝息だけが静かに聴こえた。

メリークリスマス!