晩餐

その夜は珍しく早くに休むことが出来た。
三日三晩ゲームをやり込んだ時任と、昼夜を問わず連日のようにバイトに明け暮れた久保田が一緒に 眠るのは、 久し振りの事。
だからこそ。

「……時任?」

馴染んだ体温にうとうとし始めた頃、ベッドがぎしり、と軋みを上げた。
身体に伸し掛かる重みに、目を開ける。

「なぁ、喰っていい?」
「……だめ」

触れてくる唇が、指先が熱い。
見下ろす瞳は熱っぽく、綺麗な弧を描く唇は何時にも増して紅く。

「じゃあ……喰われるのは?」
「いいよ。食べてあげる」

笑みを含んだ久保田の声に、時任がニコリと嘲う。

「食べて“あげる”?」
「食べさせてクダサイ」

躾どおり。