since 2005年8月12日
誰だってあるだろ?そーいう時。
【eat me】
風呂から上がってリビングに戻ると、そこは既に蛻の殻。
寸前まで使ってたと思しきゲーム機は電源も落とさず放置されたまま、テレビから軽快な音楽を
流し続けていた。
ちょっと小首を傾げて考えてから、ゲームとテレビ両方の電源を切る。
暫く待って「どうして勝手に消すんだ!」とか文句の声が聞こえてこない事を確認してから、
久保田はリビングの電気を消した。
「時任?」
寝室のドアを開けると既に電気は消され、月明かりで辛うじて中が窺えるか、といった暗さだった。
眠っている事も考えて、静かに近付き控えめに声を掛けると時任がベッド上で身じろぎ、空気が
揺れた。
「遅っせーんだよ。待ちくたびれたっつの」
「それはごめんね」
時任の言葉の持つ意味に気付いた久保田はひっそりと笑うと、ベッドの縁にゆっくりと腰を掛け
その頬に手を伸ばす。
「触んな」
その一声に伸ばした手をぱたり、とベッドに投げ出すと。
時任の唇が満足げに弧を描き笑った。
「なに、今日はそーいう気分の日?」
「そ。今日はそーいう気分の日」
起こせ、というように伸ばされた手を掴み引き起こすと、時任はそのまま勢いよく久保田に
抱きついた。
加減を知らない時任を受け止めきれずベッドに沈み込むと、いつもとは逆の位置で楽しげに自分を
見下ろす目を見上げた。
「……お好きにどーぞ」
「じゃ、遠慮なく」
イタダキマス。