なんか、もう本当に。
食べちゃいたい。

【hunger】

深夜。ベッドで気持ちよさそうに眠る時任を見下ろして

「人の気も知らないで、いいご身分だよね」

横を向いて丸まっている身体を仰向けに転がした。
タンクトップから伸びるスラッとした腕とか、暑いのかタオルケットからはみ出しちゃってる
引き締まった足とか。

美味しそう。

ここ暫く夜になると決まって訪れる、時任に喰らい付きたくなる衝動。
それは決して性欲からくるものでは無く、限りなく純粋で飢餓にも似た食欲。
そんな危険が身に迫っているとも知らずに、自分の隣で無防備に眠り続ける時任の頬を
味見するみたいにそっと舐めてから、細い首に手をかけた。
動物だって狩をする時、まず喉元に喰い付いて息の根を止めるじゃない?
それと同じ。
かけた手に少しずつ力を込めてみると、指先に感じる頸動脈の拍動が強くなって。
眠ったまま顔を顰める時任に、愉悦を覚えた。
そりゃあ苦しいよね。気道を圧迫されて、呼吸を阻害されてるんだから。

ほら、早く目を覚まさないと。
喰い殺されちゃうよ?