ハロウィン

「で、どーすんだよコレ」

コレ、というよりもコレら、というべきかもしれない。
時任はうんざりとした面持ちを隠さず、目の前に広がる光景を見下ろした。

「どうするって、食べるに決まってるっしょ?」

しかし久保田は時任の呆れた様子は意に介さず、さも当然のように返した。

「しかも、カボチャばっかじゃん」
「そりゃあ、ハロウィン限定スイーツと言ったらカボチャだよねー」

一体、何軒のコンビニをはしごしたらこれだけ集められるのか。
テーブルの上に所狭しと並べられたプリンやらケーキやらの鮮やかな色彩に目が眩む。

「で、時任はどれが食べたい?」
「って、俺も食うのか!?」
「当たり前っしょ。流石に一人で全部食べれきれる訳ないじゃない」

じゃあ何でこんなに買って来たんだ、とか、いや久保ちゃんなら一人で食える気がする、とか。
言いたい言葉を飲み込んで、諦めにも似た気持ちで並べられた洋菓子の山の中から小さなタルト一つを手に取った。

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