since 2005年8月12日
時任が足音荒々しく、リビングと部屋とを行き来している。
全身で怒りを露わにしながら、財布とケータイをポケットに突っ込んで、今にも家を出て行きそうな時任を止める術も無くただぼんやり眺める。
まぁ怒らせたのは他でも無い、俺なんだど。
時任がちらりと俺に視線を向けるのを感じて、目を逸らす。
これ見よがしに大きく溜息を吐いて、リビングから出て行ってすぐに遠くで玄関のドアが閉まる音。
何をする気にもならず、目の前の煙草にさえ手が出ずにソファーに沈み込んだ、その瞬間。
また荒々しい音でドアが開き、出て行った筈の時任が戻って来る。
「買い物!何でついて来ねーの!?」
「……一緒に行って良いの?」
時任の目が吊り上がる。
ああ、どうやらまた失言だったみたい。
手が伸びて、殴られるかな、と思ったら掴まれたのは俺の腕。
無理矢理、ソファーから立ち上がらせられる。
「俺が欲しいモン、買ってくれたら許してやる」
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