はしたないくちびる(※滝時注意)

「浮気者」

そう蔑むように吐き捨てた台詞とは裏腹に俺を見下すその目は酷く愉しそう。

「だから、オシゴトで仕方なくだって」

ってさっきから言ってるけど聞いちゃくれないよね。
マッサージ店の冠を被った所謂、風俗店の無許可営業の実態調査。
にしても、店を出た所で見付かったのが運の尽き。
君こそなんであんな場所に居たのかと訊きたいけど訊くに訊けないまま、乱立するラブホの一つにそのまま連行された。
部屋に入るなりベッドに突き飛ばされたからシャワーさえ浴びさせて貰えてない。

「ふーん。滝さん、もうちょっと仕事選ぶと思ってたけど。意外と無節操だったりするわけ?」

完全に馬鹿にされてる気がするけど、さっきから肌の上をさわさわとなぞる掌に気を取られて反論の言葉すら浮かばない。

「っ、悪かったな選べる程仕事が無くて」

かろうじてそれだけ言い返す。
トッキーは機嫌を損ねるどころかニヤリと笑って指先で引っ掛けたジーンズのウエストを広げにかかる。

「なあ、さっきの店の女と俺、どっちのが上手い?」

何が、なんて訊く間も無く反応し始めたモノを撫で摩り、しっかり勃ち上がったそれを躊躇う事なく口に含む。
知らない他人がどう触れたか分からないモノによくそんな真似出来ますね、なんて的外れな事を考えて、あ、俺も似たようなモンだわ、と乾いた笑い。
でもまあ、くぼっちだし。知らない他人では無いし。
なんて余計な事を考えてないと、すぐにでもイッちゃいそう。

「滝さん、店でちょろい客とでも思われたんじゃねーの?」

だって滝さん、簡単だし。
イきそうなのがバレたのか、しゃぶってたのをあっさり口から離すと俺を見下ろしながら見せ付けるように自ら服を脱ぎ落としていく。

「……何か、酷い言われ様じゃない?」

お返し?仕返し?この場合どっちが正解か分からないけどトッキーの大腿に触れて手を滑らせて、そこに行き着くよりも僅かに早く手を振り払われた。

「本番に持ち込むのはルール違反なんじゃねーの?」

ああ、まだ続いてたんだソレ。
ていうか、『店の作法』についてやけに詳しくない?
指摘したら「久保ちゃんの入れ知恵」と返されて頭を抱えそうだし今回の仕事の件もそこからバレた気がしてならない。
結局俺は触らせて貰えないまま(そもそもこの調子じゃきっと最後まで挿れさせても貰えない)、だらしなく広がった俺の両足の間に再び蹲ると、 さっき迄のはほんの戯れだとばかりに舐めて舌を絡ませて唾液で滑らせて喉の奥まで飲み込んで吸われる。

「ンッ、」

嘔吐いて涙目になりながらも頑なに口から離そうとせず、俺の腰の辺りに添えられてたトッキーの右手はいつの間にか自分のを握りしめてるし、 左手は見えないけどきっと後ろに指を突っ込んで出し入れしてる動きが何となく分かる。
俺のをはしたなく咥えながら自分でするトッキーの姿は、はっきり言って興奮する。

「トッキー、ちょ、ヤバイって、」

意思に反して力の入った両足の大腿が勝手に震える。
トッキーはほんの一瞬だけ顔を上げると艶然と笑って、また見えなくなったのと同時にその口の中に全部吐き出した。