since 2005年8月12日
ノートパソコンから視線を外して、時計を見上げた。
時刻を確認して、最後に先程から欠伸を繰り返しながらデスクトップのキーボードを叩く後ろ姿に目を止める。
「眠いなら、もう寝たら?そこまで急ぎの仕事って訳でも無いし」
お子様はもう寝る時間、ってやつ?
どの道、もう終電に間に合うような時間ではない。
トッキーを帰さなかった事で、背筋の凍るような笑みを向けられるのが目に浮かぶが正直、今さらだ。
知った事ではない。
キリの良いところで止めさせようと、立ち上がる。
「なあ、滝さん」
「んー?」
振り返られて、思わず仰け反る。
「眠い時にするとスゲー気持ち良い、って知ってっか?」
ああ、端っからコレが狙いか。
口許に笑みを作り、涙の浮かんだ眦で見上げられる。
「……それって体感出来るの君だけじゃない?」
道理で、いつも以上に仕事に時間をかけてた訳だ。
思惑に乗せられて、パソコンの電源を落とした。