misunderstanding

いつもよりも近くでふわりと漂った煙の匂いに閉じかけた目を開ける。
ちらりと横目で確認すれば予想に違わず、隣で横になったまま煙草に火を付けた久保田の姿が目に入り思わず顔を顰める。

「寝煙草すんなよ。この前だってシーツに焦げ目作ったばっかじゃん」
「え？俺、そんな事した覚え無いけど」

いつの話？
首を傾げられて、目を反らす。

「あ、何でもない。勘違い」
「勘違い、ねえ……」

やべ、と舌打ち。
寝返りを打って久保ちゃんに背を向けると同時にベッドがギシリと軋んだ。
煙草を消して、にじり寄られる。

「時任」
「なに」
「んー、訊きたい事は色々あるんだけど。とりあえず、さ」

ぐるり、と半ば強制的に身体を半回転させられ再び向かい合う。

「もう一回、しよ？」

ああ、拒否権は無いからね。
そう冷たい笑みを向けられた。