プライド

熟睡とは程遠い、うつらうつらとした眠りが途切れた所で手元のケータイを開いた。
バックライトの眩しさに目を凝らし、確認した時刻は午前4時。
また何とも嫌な時間に目が覚めた。
夜中とも明け方とも言えない時間帯。

「早く、帰って来いよ……」

迷いながらケータイを手の中で弄んで、結局枕元に放り出す。
寂しくなったから電話を掛けるだなんて、とてもじゃないが出来ない。
こんな時ですらプライドが邪魔をする。

「久保ちゃん……」

朝までは、まだ遠い。

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