ペットボトル

ベッド脇に放置されていたペットボトルを掴み取り一気に中身を煽った。
炭酸も抜けきって、温くただ甘いだけのそれは最早コーラとは呼べない。
顔を顰めて再びベッドへと沈み込む。

「マズ……」
「そりゃあ、そんな所に置いておいたら不味くもなるっしょ」
「誰のせいだっつーの」

睨んでみた所で、曖昧な笑みと煙草の煙で誤魔化される。
それならば。

「……なに?」

再び身体を起こして、久保ちゃんを正面に見据えた。
にやりと笑って、その肩を勢いよく押し倒す。

「うわ、」

危ないってば、なんて文句は聞こえないフリ。
まだ長さの残る煙草も取り上げて灰皿へ。

「時任」

期待を隠しきれない眼差しを向けられ、その目を見つめながらゆっくりと唇を耳元へと近付ける。

「冷たいコーラ。買って来い」
「……えー」

今すぐに。
有無を言わせず笑顔と共に吐き捨てた。