since 2005年8月12日
身動きが取れない。
ただし、縛られている訳でも無ければ目隠しをされている訳でもない。
思い出しかけて、ゾクリと震えた。
その瞬間、真上から見下ろす視線が突き刺ささる。
自滅もいい所だ。
冷ややかな瞳に向かって誤魔化すように笑みを浮かべる。
「動いて、無いだろ?」
そっとお伺いを立てる。
他人の、と前置きの入る神様の裁きを待つ僅かな時間。
それさえも興奮の材料になり得て、腰が震えそうになるのを生唾を飲み込んで気を逸らす。
じっと見下ろす視線に堪え兼ねた所でふとその口許に笑みが浮かんだ。
「動くなよ。動いたら、止めるから」
あ、まだ続くんだコレ。
安堵と同時に絶望感に苛まれる。
下手な拷問なんかよりよっぽど質が悪い。
「動かないよ」
「本当かぁ?」
愉しげに喉を鳴らし笑うトッキーが不意に身を屈めた。
その瞬間、その体内に埋められたモノがきつく締め上げられ意思に反して思わず背中が仰け反る。
「だから、動くなって滝さん」
いやいや、絶対に分かってやってるでしょ。
ぼやけた視界いっぱいに、トッキーの綺麗な顔が映る。
僅かな身動ぎすら許されず、いつの間にかシーツを握り締めていたらしい両手を優しく取られた。
かと思えば、その両手は顔の横でトッキーに押さえ付けられ、
「あ、勝手にイくのも無しだから」
極上の笑顔と共についでの様に付け加えられた残酷な言葉に、眩暈がした。
suppress:抑制