沈黙

秒針の音さえ拾える静寂の中。
とろとろと微睡む淵で煙草に火をつける微かな音を聴いた。
薄明かりの中、緩やかに立ち上る煙を何気なく目で追っていく。

「眠いんじゃないの」
「んー……」

眠いと言えば眠いし、眠くないと言えば眠くない。

選んだ答えは、沈黙。

ベッドの上で寝返りを打って、久保ちゃんに擦り寄り腰に腕を回す。
何にしろ、動きたくない。

「寝たら良いのに」

苦笑混じりの穏やかな声。
あやすように髪を撫でる手付きの心地良さに、誘われるまま目を閉じた。

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