since 2005年8月12日
時任が目の前を横切った、その瞬間。
知らない様で知っている匂いに、眩暈を覚えた。
いい加減、勘付いてしまう自分にも嫌気がさす。
「時任」
「なに?」
ご丁寧に、シャワーまで借りちゃってさ。
『何が』あったかなんて、バレバレなんだけど。
「それ、わざとやってんの?」
不思議そうに見上げる時任の目は、何処までも純粋そのもので。
あーあ、罪悪感なんてこれっぽっちも無いんだろうね。
口を開こうとする時任を片手で制する。
「いや、いいよ何も言わないで。聞きたくないから」
嘘や言い訳ならまだ可愛げがあるものを、どうせまた馬鹿正直にべらべらと教えてくれるんだろうから。