ポテトチップス

目ぼしい新商品を手当たり次第、篭に放り込んでいく。
合間に頼まれたカロリーメイト、スニッカーズ、雪屋だいふくを入れる事も忘れない。

あとはセッタ。1カートン。

レジに向かいかけて、ふと目に付いたそれは新商品でも無ければ時任のお気に入りでも無い。
何となく篭に追加して、今度こそ会計を済ませる。

「ただいま」
「おかえり、久保ちゃん」

さっそく袋の中を覗き込もうとする時任に荷物を手渡す。
自分の物と俺の物、気になる新商品とそうでない物。
選り分けながらコロコロと変わる表情が面白くて仕方がない。

「なあ、久保ちゃん。これ食っていい?」
「ん?」

時任がひと際目を輝かせながら、手にしたそれ。
最後に入れた、ポテトチップス。

「うん、良いよ。俺にも頂戴ね」

何て事のない、日常がこんなにも。
(これを幸せって言うんだろうね)