since 2005年8月12日
ベッドのスプリングが激しく軋んだ音を立てる中、不意に響いたケータイのバイブレーション。
滝沢が動くのを止め手を伸ばすよりも先に時任がケータイを取り上げ、躊躇いも無く画面を開く。
「トッキーさあ、プライバシーって言葉知ってる?」
「彼女」
「は?」
思わず間の抜けた声が出る。
その反応に時任がニヤリと笑う。
「じゃなくて久保ちゃん」
時任の言葉と見せられた画面に、今度こそがっくりと項垂れる。
「だと思った。そもそも掛けて来るような彼女なんて居ないわ」
「だよな。滝さん、俺に夢中だし」
しれっと言い放つ時任の手の中で未だケータイは弄ばれている。
「掛け直してやろうか?」
今度こそ、時任がボタンを押すよりも先にケータイを取り上げる。
「止めて。冗談抜きで殺られるから」
「じゃあ、さっさと続き。して」