携帯画面(※滝時注意)

ベッドのスプリングが激しく軋んだ音を立てる中、不意に響いたケータイのバイブレーション。
滝沢が動くのを止め手を伸ばすよりも先に時任がケータイを取り上げ、躊躇いも無く画面を開く。

「トッキーさあ、プライバシーって言葉知ってる?」
「彼女」
「は?」

思わず間の抜けた声が出る。
その反応に時任がニヤリと笑う。

「じゃなくて久保ちゃん」

時任の言葉と見せられた画面に、今度こそがっくりと項垂れる。

「だと思った。そもそも掛けて来るような彼女なんて居ないわ」
「だよな。滝さん、俺に夢中だし」

しれっと言い放つ時任の手の中で未だケータイは弄ばれている。

「掛け直してやろうか?」

今度こそ、時任がボタンを押すよりも先にケータイを取り上げる。

「止めて。冗談抜きで殺られるから」
「じゃあ、さっさと続き。して」