ペットボトル

勢いよく空になったペットボトルが、そのまま時任の手を離れフローリングの床を転がっていく。

「こーら、投げ捨てないの」
「投げ捨てたんじゃねえよ、勝手に転がってったの」
「ああそう。じゃあ、仕方ないね」

我ながら甘いなぁと思いながら、身体を起こして煙草に火をつける。
再びベッドに沈み込んだ時任の髪を手持ち無沙汰気味に撫で、冷えた肩に手を滑らせた所で振り向きざまに叩かれる。

「あ、イタ」
「痛いじゃねーよ。俺様は寝るからな」
「えー」

邪魔すんなよ。
最後にしっかり念を押し、頭からすっぽりと布団を被り身を守るかのように丸くなる時任の姿に、これで手を出したら本気で殴られそうだと。
ひっそりと笑みを浮かべ煙草の煙を吐き出した。