ゲーム

背後から痛い程に感じる視線。
それを感じ始めてから決して短くない時間が経ち、それも時間を追う毎に強く
はっきりと伝わって絡み付く様な物に変化しようが、ひたすら気付かないフリ。
無視を決め込んでいた。

きっと、欲しくて欲しくて堪らないって目をしてる。
想像して、ほくそ笑む。

「ときとー」
「なに、久保ちゃん」

いま気付きました、と平静を装って振り返る。
その先を見越して、しっかりセーブするのも忘れない。

「まだやるの?それ」

うん、実は久保ちゃんの視線を感じ始めた辺りからゲームは進んでいるようで、ちっとも進んでいませんでした。
久保ちゃんがそれに気付いていたのかどうかは、怪しいところ。

「いや、ちょうど止めようかと思ってた所だけど」

思いっきり伸びをしながら答える。

「そう。じゃあ、そろそろ俺に構ってくれないかなー」
「何だよそれ」

まどろっこしさに笑い出したくなる。
ポンポンとソファーの座面を叩く久保ちゃんを無視して、その膝の上にでも座ってやろうか。