since 2005年8月12日
新しいもの、珍しいもの。 最初は何でも、二人で一緒に。
「おーすげー!」
炭酸ガス2倍。寒い冬に温浴効果が高まります。
そんな謳い文句に上手く乗せられて買って来た入浴剤。
時任がはしゃぐ度に黄色の水面が波打ち揺らぐ。
「なー久保ちゃん!これ良いよな!」
「うん、そうね」
「久保ちゃん、反応薄い」
時任が不満気に水面を指先で弾いた、その瞬間。
「あ、」
「うわ、ゴメン!目に入った!?」
「柚子。だったんだなーと」
匂いがね。
そう言うと時任が湯船に沈む勢いでガックリと項垂れる。
「今さらかよ……」
「うん。まあ、それどころじゃ無いって言うか何て言うか」
ここで手を出したらもう一緒に入ってくれなくなるんだろうなと。