夏寒

触れた指先の氷のような冷たさに思わず顔を顰めた。
ちらりとエアコンのリモコンに目を向ければ、23℃の数字にいっそ目眩がする。

「時任、流石に冷やし過ぎだって」

一度止めようとリモコンに伸ばした手は届く前に時任に阻まれる。

「いいって」
「いや、良くないっしょ」

腕を掴まれ、どうしたものかと考える間もなく時任がぴたりと身体を寄せ、その低い体温に思わず腕を回し抱き寄せる。

「あー、あったけー」
「……お前ね」

心底幸せそうな表情で擦り寄るその仕草に、まあ良いか、と。
ソファーの端で丸まっているタオルケットに手を伸ばした。