aphrodisiac

荒かった息が落ち着いたところで温くなったポカリを流し込んだ。
再びベッドに沈み込むと心地よい疲労感と眠気に誘われるままに目を閉じる。

「ときとー。寝ちゃったの?」

起きてるよ。
そう答えたつもりだが声にはならなかった。
しかし久保田には伝わったようで、唇に何かを押し当てられ反射的に口を開く。

「……チョコレート?」
「そ。疲れた時は甘い物ってね」

冷えたそれを噛み砕くと割れたチョコレートの中から洋酒が広がった。
トロリとしたそれを飲み込むと僅かなアルコールが呼び水となって、引いた筈の身体の熱が再びじわりと燻り始める。

「久保ちゃん、」
「ん、なーに?」

ギシリ、とベッドのスプリングが軋んだ音を立てた。
枕元についた久保田の手から腕に指を這わせる。

「眠いんじゃないの?」
「気が変わった。いいから付き合え」

肩に辿り着いて、強く引き寄せる。

「いいけど、いいの?」

知らないよ?
ひっそりと笑みを深める久保田の唇に、上等だ、と。
笑い返して自分のそれを重ねた。