one day

心地良い微睡みの中、ちょっと出掛けて来るね、と頭を撫でられたのは数時間前の事。
はい、と渡された箱に印字された見覚えのある洋菓子店のロゴに目を見開く。

「信じらんねー、本当に買って来たのかよ!?」
「だって時任、この前食べてみたいって言ってたじゃない」
「そりゃ、言ったけど」

そのケーキを知ったのは、たまたま見ていたテレビ番組で。
開店前からそのケーキ目当てに客が並ぶ様な店で場所も遠く早々に諦めていた。
それなのに。

「まあ、折角のクリスマスだし?何処行く訳でも無いし、これ位はね」

そう微笑まれて、それはもう、悔しい程に。

「かっこいいじゃん」

ちょっとだけ驚いた顔をした久保ちゃんの、高い位置にある頭をぐしゃぐしゃ撫でた。

Merry X`mas !