膝枕を所望します

ゲームの所々にミスが目立ち始めてから数十分。
テレビ画面いっぱいに表示された『GAME OVER』の文字に思わず右手に力が入る。
しかも、こんな今まで負けた事の無い様な場所で。
苛立ち紛れに叩き付けたコントローラーが立てた嫌な音にイライラが倍増。
自分でも分かるほど盛大に眉間に皺が寄った所で宥めるみたいに頭を撫でられた。

「ときとー。眠いなら寝る」

あー、そっか。眠いのか、俺。
なんて、自分の事なのに感覚が何処かヒトゴトじみてる。

「ん、じゃあ寝る。ちょい休憩」

放り出したコントローラーを本体ごと適当に押しのけて片付けたフリ。
空いたスペースに寝転がる。

「で、何でここで寝るかなぁ」
「寝ろ、っつったの久保ちゃんじゃん。責任取れよ」

丁度良いタイミングで俺の隣に座った久保ちゃんの膝に頭を乗せて。
これもまた適当に丸められてるタオルケットを引き寄せた。