12/24 あるカフェにて

街中を彩る煌びやかなイルミネーション。
至る場所で耳にするクリスマスソング。
目に付くのは仲良く並んで歩くカップルや家族連ればかり。

それなのに。

「どうして私の前に居るのは格好良くて優しい彼氏じゃなくて誠人なのかしら」
「いや、急に連絡して来て呼び出したのはそっちなんだけどね?」

本当ならば今頃マンションの一室で時任と二人でケーキを囲んで形ばかりのクリスマスを楽しんでたと言外に匂わす誠人ににっこりと微笑みを向ける。

「何よ、女の子にクリスマスを一人きりで過ごせって言うの?」
「いいえ、どうぞお召し上がり下さい」
「そ。ありがとう」

いただきます。

降参、と言う様に軽く両手を上げる姿に満足の笑みを浮かべて。
可愛らしくデコレーションされた小さなケーキにフォークを立てた。

Merry X`mas !