てのひらに飴玉

「時任、手出して」
「ん、」

久保ちゃん言われるままに手を出した。
差し出した掌に乗せられたのは、一つの飴玉。

「何だこれ」
「のど飴。お前ね、今朝から声枯れてる」

自分で分からなかった?と訊く久保ちゃんに首を振る。
つーか、自分でも気付かない様な変化に気が付く久保ちゃんが凄い。

「……不味い」
「そりゃあ、美味しいもんじゃ無いっしょ。のど飴なんて」

噛んじゃダメだからね、という久保ちゃんの言葉よりも早く口の中で飴玉が半分に割れた。