うっすら煙草の味がした

「何でお前はいつもそうなの」
「何で、って。そんなの決まってるじゃん」

首筋に見付けた、覚えの無い赤い痕。
何処かでシャワーを浴びた事を隠そうともしない、生乾きの髪。
知らない、匂い。

「久保ちゃんが一番ウマイって思い出す為」

悪びれず笑う時任に、もはや溜め息しか出ない。

「で、思い出せた?」
「当然」

甘える様に伸ばされた腕。
強請られる侭に唇を重ねる。
絡めた舌は、うっすら煙草の味がした。

お題元:確かに恋だった