リボン

「そしたら、そっちのを下から持って来て……あー、違う、それ逆」
「っだーもう!分っかんねーよ!!」

時任が持っていたリボンを放り出す。
床に落ちたのは、無器用に縦に結ばれた蝶々結び。

「何で縦になるかなー」

拾い上げて一度解いて、また結び直す。
今度は綺麗な蝶々結び。

「ほら」
「貸せ、久保ちゃん」

時任にリボンを渡すと、そのまま背後に回る気配がした。
首にリボンが触れ、瞬間、本能的な不快感に息が詰まる。

「うん、似合う似合う」
「やっぱり縦結びじゃない」

出来上がった首輪の様なそれの結び目に手を掛け笑った。