since 2005年8月12日
スッと手を伸ばすその先は……
【Can You See ?】
「何してるの?」
読んでいた本を閉じて、視線を向けた先には時任が居て。
その手には俺のメガネ。
「それ、無いと見えないんだけど」
「だって、メガネ掛けてたら見えないじゃん」
「掛けない方が見えないと思うんだけど?」
取り返そうと手を伸ばしたら、軽くかわされて。
「そうじゃなくて、俺がさ」
互いの動作が止まり、視線が交わる。
「久保ちゃんの目にちゃんと俺が映ってるか見えないじゃん」
少し拗ねたような物言いとは裏腹に、その瞳は楽しげで。
「じゃあさ、確かめてみる?」
手招きして、近づいた時任を抱き寄せる。
腕の中の時任を見つめれば、その目は無意識の内に閉じられて。
誘われるように、ゆっくりとその唇にキスを落とす。
「ちゃんと見えた?」
何も言わないけれど。
仕返しのようなキスを仕掛けてきた、きっとソレがキミの答え。