気まぐれ

「ね、触っていい?」

彼にしては珍しく伺いを立てる言葉。
にっこりと微笑んでやって、言葉とは裏腹に触れようとする手をピシャリ、と叩く。

「ダメ」

約束、破った罰な。
言いながら両腕をベッドに押し付けた。
多少、動き辛くなったが大した問題じゃない。

「なあ、久保ちゃん。動きたい?」
「うん」
「何か言う事」

勝手にヤったら、止めるから。
向けられた非難がましい視線に、腰を浮かせる。

「動いて、いい?」

懇願めいた声色に良く出来ました、と。
望む言葉を口にした。