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熱に浮かされた様な、だけど明確な強さを持った視線を感じて動くのを止めた。

「なに、見てんの?」

息が上がるのを隠し切れない。
不意に動くのを止めた事を抗議するかの様に、時任のナカが締め付けた。
催促じみたそれをキスで宥めて、答えを求める。

「ね、」
「かっこいい顔」

トロリとした甘さを含んだ様な声。
耳が拾った音を半ば酸欠気味の脳が理解するまで若干の時間を要する。

「なんだよ」
「いや、あまりにも普通に言われると逆に照れるね」
「だって、あんまり見ねーし」
「それはお前がいつも上で動きたがるからっしょ?」

久しく感じていなかった、密着した膝裏。
感触を懐かしむ様にそっと太腿を撫でると、時任の身体がぴくりと震えた。
笑みを落として、再び動こうとすれば

「久保ちゃん、」
「ん?」
「気が変わった。こーたい」

挑発的な笑みに促されるまま、時任の身体を抱き起こした。
肩を押され、背中がベッドに沈む。

「ん、やっぱコッチのが落ち着くな」
「……楽しそうね、お前」

時任が艶やかな微笑を浮かべる。
夜はまだ終わらない。