セカイノハテで零を唄う

水滴に濡れたグラスが手から滑り落ちた。
追う為に伸ばした指先は冷たい手に遮られてシーツに押しつけられる。

グラスが割れて音が響いた。
目を逸らさないで、俺だけを見て。

そして拙い舌を絡めて、どうかこのまま―

「また碌でもないこと考えてるだろ、久保ちゃん」
「うん。言わないけどね」
「言えない、の間違いだろ?」

射抜くような視線。
与えられたのは突き放すようなキス。
それが応えだとスプリングが軋んだ音を立て、全てが掻き消された。