since 2005年8月12日
不意に感じた暑さで目が覚めた。
外は相変わらず凍て付いた様な寒さで。
暖房も控えめな温度を保っている事から、暑いのは部屋では無く自分自身の身体が発する熱の所為だと気が付いた。
自覚してしまえば、それはもう無視のしようが無く。
「久保ちゃん、久保ちゃん、」
いつもは向かい合いながら抱き合って眠るというのに、今日に限って互いに背を向けながら眠りに落ちた数時間前の事が腹立たしい。
加えて、珍しく深く寝入っているのか、ちょっとの呼び掛け程度では目を覚ましてくれる様な気配もなく。
かと言って、一度自覚してしまった熱を無視して寝直すのは難しい。
「久保ちゃんっ」
自分の方では無くドアの方に向いてる久保田の身体を、肩を掴み半ば強制的に上を向かせる。
「ん、」
無理に体勢を変えられた所為か、流石に眠り続けていられる訳も無く、ぼんやりと目が開く。
「ときとー?」
その視線が自分を捉えた事に満足して、笑みを浮かべながら久保田の腰の辺りを跨ぎその顔を見下ろす。
「なに、どーした?」
「俺を寝かせろ」
「……それ、だいぶ矛盾してない?」
どうやら状況を飲み込んだらしい久保田が、ひっそりと笑って時任の頬に手を伸ばす。
「で、俺はどうすればいいのかな?」
「そんなの、決まってるだろ」
頬を撫でながら親指で唇をなぞる久保田の手に自分の指を絡げて、引き離しながら身体を倒して耳元に唇を寄せた。