since 2005年8月12日
今日は一日、何もしないと心に決めた。
一切の日常生活を放棄して、ソファーの上で自堕落にただ時間を食い潰す。
外に出るのは疎か、家の中ですら動く気にならずに手の届く範囲に食料代わりのお菓子の袋とペットボトル。
それから久保ちゃん。
「久保ちゃん」
「んー?」
単に眠いのか、それとも上に乗っかった俺に押し潰されているせいか、何処かくぐもった声の間延びした返事。
「なーに、時任。どうしたの?」
「……何でもない」
気儘に髪を撫で続ける久保ちゃんの手を退けさせて。
よし、と小さく気合を入れてからソファーと久保ちゃんの上から身体を起こす。
それでもやっぱり動く気にはなれずに、床に転がったお茶のペットボトルを傾け一息に呷る。
「久保ちゃん、お茶無くなった」
「あらら。持ってくる?」
「やだ。面倒くせえ」
「お前ね」
持ってくるのはお前じゃなくて俺でしょ、なんて笑う久保ちゃんも、言うだけで実のところ動く気なんて無いに決まってる。
長い足を持て余しながらもソファーに転がったまま、「おいで」というように両腕を差し伸べる真ん中に再び遠慮なく寝転がり、収まりのいい体勢を探した。