キミトボク

水滴でぬるりとしたペットボトルが酷く不快だ。
手を伝い流れる生ぬるい水に顔を顰めながら半分近く一気に飲み干したソレを、ベッドの上から床へと放る。

「時任、俺には?」

ごろり、と鈍い音をたてながら転がったペットボトルは、もう既に手には届かない。

「自分で取って来い」
「……わん」

何処か物悲しげな声で一言そう呟くと、それこそ大型犬のようにのそりとベッドから抜け出した。

「服ぐらい着てけよバカ」
「着たって、どうせまた脱ぐんだからいいでしょ?」
「やだ。俺は休憩ー」

汗で湿ったシーツの上。
ぐちゃぐちゃに乱れてる布団を足で蹴り直しながら、寝やすい体勢を探して久保ちゃんに背を向ける。

「あれ、寝ちゃうの?」
「起こすなよ」

念を押しながらも意識は既に微睡みの中。
背中に抱き込まれる温もりを感じながら、眠気に誘われるまま目を閉じた。