lack…?

何かが足りない。
けど、それが何なのかが分からない。
満たされているのに何かが欠けているような。
ジグソーパズルの1ピースが見つからないような、そんな感覚。

いつものように久保ちゃんが朝飯を作って。
当たり前のように俺はそれを食った。
でも、何かが足りない。

何だろ?

飯の量は十分足りてる。
けど、そんなんじゃなくて、決定的な何か―

「なに朝から難しい顔してんの、時任は」

久保ちゃんが面白そうに俺の顔を覗き込む。

「久保ちゃん……」

ああ、分かった。

「なあ、久保ちゃん」
「うん?」
「頼みがあるんだけど」
「なに?」
「ギュッてして」

俺の頼みに久保ちゃんは微笑むと、望んだ通りに優しく抱きしめられた。

「ホント可愛いよ、おまえは」
「可愛いって言うなっ」

俺だって恥ずかしいんだからな!

enough...?