糖分不足

「甘い物が欲しい」

ふとした瞬間に俺が漏らした一言。
時任は先程からゲームに夢中で、俺の言葉に気付かない。

「ねえ、時任」
「なんだよ」

名前を呼べば、返事はしてくれたけど。

「甘い物が欲しい」
「セブンで買ってくればいいじゃん」

だけど時任の目線は相変わらず、テレビに向いたまま。

「別に買いに行かなくてもいいんだよね」
「は?」

黙ってリモコンを取り上げ、テレビの電源を切る。

「ちょっと、久保ちゃ、」

抗議の言葉を唇で遮って。

「甘いもの。ちょうだい?」
「……バーカ」

あきれたように笑いながら、腕を回す。
そんな君がダイスキ。