久保田家の夏バテ対策

「あっちー……」
「そりゃ、夏だからね」
「わかってるっつーの。あーもう、かったりーなっ!」
「クーラーはついてるんだけどねぇ」

寒いぐらいに。
ああ、でも時任は夏ってだけでダメなんだっけ?
今月も電気代が嵩むなぁ。

「ごちそーさま」
「はい、おそまつさま。って、時任あまり食べてないね」

今日の夕食は例の如くカレー。
いつも文句を言いつつ結局、残さず食べる時任が珍しくかなりの量を食べ残していた。

「ああ、なんか食う気がしねー」
「そう?どうしたんだろうね?」

食べる気がしないって、風邪じゃないよねぇ。
これでも、時任が風邪なんかひかないように細心の注意をはらってる自信が……
ある訳ではないが、無くはない。
そういえば、昼間もだるいって言ってたし。
これはもしかすると。

「おまえ、もしかして夏、」
「な、この俺様が夏バテなんかになる訳ねーだろ!」
「夏バテなのね」
「あ、」

時任が「しまった」というような表情をしたけど、もう遅い。

「ごめんね、時任。夏バテにならないようにちゃんと運動させてたつもりなんだけど……」

時任の瞳を下から覗き込む。

「足りてなかったみたい?」
「じ、十分に足りてる!」
「やっぱり、俺の責任だよねえ。ここは責任取って、もっと運動させてあげるから」
「いらねえ!っていうか、夏バテとソレは関係ねーだろ!!」

あらら。そんな顔しないでよ。俺、傷ついちゃうよ?

「細かい事は気にしないの」
「気にする!って、迫ってくんな!!」

その後、時任の夏バテは無事に解消されたらしい。