liar

白いシーツの上で感じ入った声を上げる時任は酷く淫らで煽情的。
他の誰かにも同じ顔を見せたかと思うとイライラする。
一瞬、その『誰か』の顔が思い浮かんだが迷わずシャットアウト。
まるでその場を見ているかのように想像出来てしまう自分に嫌気がさす。

「何、考えてんの?」
「別に、何も?」
「嘘つき」

熱い息を吐き出しながら見透かしたように時任が艶やかに笑う。
濡れた瞳をしてる癖に、その視線は何処までも冷ややかで。

「正直過ぎるのも、癪に触るけどね?」

付けた覚えの無い鬱血痕に指を這わせる。
問い質す迄もなく分かりきった答えなど聞きたくないから、不快な言葉は喘ぎに搔き消した。