appetizer

何でこんなコトしてるのかと問われれば、それは多分キモチイイからで。
それ以上でもそれ以下でもなくて。

「トッキーさあ、何でいつも俺とこんな事してんの?」

今まさにその答えを考えていた所だっただけに、若干の驚きを隠しながら自分の慣れたそれじゃない、だけど決して知らない匂いでも無い煙草の煙を吐き出す唇を見上げた。

「なんで?」
「だから、それはこっちが訊きたいんだって。まあ、別にいいけどさあ」

寝乱れたベッドの中。
手持無沙汰げな様子で空いてる方の腕に指を絡げる時任を宥めるようにその髪を撫でながら、まだ長さの大分残る煙草を引き寄せた灰皿で揉み消した。

「もうさ、俺のモノになっちゃいなよ」

そう、笑えない科白を冗談めいた口調で誤魔化しながら吐き出せば。

「帰る」
「あれ、気に障った?」
「違う」

布団を蹴ってベッドを抜け出した時任がニヤリと笑う。

「飯の時間」
「……結局、俺ってメシ以下な訳ね」

久保ちゃんのが美味いから。