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「チッ、あの野郎、自分だけさっさと満足しやがって……!」

時任は一方的に乱された衣服を直しながら、そう静かに毒づいた。
そもそも事の始まりは今から一時間ほど前のこと。
今日は執行部が非番である上に前々から楽しみにしていたゲームの発売日という事もあって、時任は早く帰るつもりでいた。
それが例の如く生徒会本部、というよりも松本から助っ人という名の小間使いを命じられた久保田を置いて行く事になったとしても、だ。
それなのに。

「たかが松本に呼び出されたまでの時間潰しに俺様を喰うとはいい度胸じゃねぇか」

まったく、思い返すだけでも腹立たしい。
久保田がどこで時任を欲して引きずり倒し貪ろうが勝手だし、学校という場所を理由に拒絶したりもしないが、それは時任自身がまず満足して当然だという意識が根底にあるからだ。
快楽には素直な時任が時間を理由に中途半端な状態で放り出され、未だに熱が引かない所かますます疼きが増した身体を持て余しながらイライラとケータイを開く。
電話帳に登録された名前を順に目で追っていき、割と早い段階で見付けたエモノに剣呑な笑みが浮かぶ。
逸る気を抑えながら震える指先でボタンを押した。

「あー、大塚ぁ?まだ学校に居るよな。……そうだよ、俺様が久し振りに遊んでやろうかと思ってさ、」

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