affectation

俺の下で、俺の動きに合わせるように、白いカラダが揺れるのが見える。
それと同時に、ひっきりなしに上がる嬌声じみた甘ったるい声に聴覚を犯され続け、悦楽を覚えるどころか不快感ばかりが募っていく。
それも既に限界へと達し、俺は身体を揺らすのを止めないまま、半ばうんざりと声の主である時任を見下ろした。

「あのさぁ、感じてるフリする位なら黙っててくれない?いい加減、 煩いんだけど」
「なんだ、演技だって気付いてたのか。人が折角気分だけでも盛り上げてやろうと思ったのに」

言った瞬間、それまで上げていた声をピタリと止めた時任は夢から醒めたような顔で俺を見上げて、そう嗤った。

「ご親切にどうも。でも生憎、俺には時任が感じようが感じまいが関係無いんだよね。俺がイければいいだけの事だし」
「あっそ。じゃあ、さっさとイけば?俺だっていつまでも遅漏の相手なんて、したくねーし」
「よく言うね。早くイったらイったで満足なんか出来ないクセに」
「その減らず口を聞いてるよりかはずっとマシだっつの」

悪態を付きながらも当然のように伸ばされる腕を掴んで、思い切り引き上げた勢いのまま自分の上に乗せる。

「あっ」
「だから、黙ってよ。ほんと、お前は腹立つね」
「うっせーな。お前も少しは俺をイかせる努力でもすれば?ま、無理だろうけど」

せせら笑いながら俺を押し倒した時任の腰を掴んで、下から強く突き上げる。

「っ!」
「あれ、声を出すのも嫌になっちゃった?」
「……言いやがったなテメー」

酷く楽しげに歪められたクチビルが、ゆっくりと降りてくる。かと思えば耳朶に噛みつき、

「覚悟しとけよ。これから嫌ってほど犯してやる」

その痛みと同じだけの甘さを含んだ声で物騒な科白を吐き捨てた。