wander

「いま、何て言ったの?」
「だから、ヤってきたんだっつってんの。何度も言わすな」
帰宅が深夜になった理由を静かな声で詰問する久保田を、時任はどうでもいい事のように煩そうな目で仰ぎ見た。

「どうして?」
「あーもう一々うっせーな。ただヤることに理由が必要か?」
「そうだって言ったら?」

久保田の腕を掴む力は一向に弱まらない。
時任は心底嫌そうにその手を見つめると、

「ただの暇潰し」

ただ一言、そう漏らした。

「そ。次は無いからね」
「なに、許してくれるわけ」
「許すも何も。俺は怒ってないし?ま、少し遊びが過ぎるとは思うけど」
「ふーん……」

あれほど強く掴まれていた腕が、呆気なく開放される。
今度はそれが妙に苛ついて。

「じゃあ、久保ちゃん」
「なに?」
「これが初めてじゃないって言ったら?」

What kind of answer do you expect?