since 2005年8月12日
湿ったシーツが背中に纏わり付く感触が、酷く不快だ。
そう感じ始めてから、一体どれ程の時間が経っているのか。
「時任……もう、やめない?」
「は、何言ってんだよ」
そう言って俺を見下ろす時任の、淫蕩に濡れきった瞳に自分が映されるだけで、耐え難い疲労感に襲われる。
「先に手ぇ出してきたの、お前じゃん」
話は終わりだとばかりに、また一方的に身体を揺らめかす時任に苛立ちを覚えて。
「……何すんだよ」
気が付けば時任を自分の上から押しのけていた。
「悪いけどね、今日はもう付き合う気ないから。ヤるなら一人でご自由にどーぞ」
「……あっそ」
時任は不機嫌を露わにしながらも、あっさりと引き下がる。
その事に疑問を抱く俺を余所に、時任はシャワーを浴びる事も無く脱ぎ散らかした服を身につけ始めた。
「どこ行くの?」
「滝さんとこ」
「聞こえなかった?俺は一人でって言ったんだけど」
「だから、滝さんとヤりに行くって言ってんじゃん。一人で」
時任は最後の一言を殊更強調して言うと、お前こそ耳悪いんじゃねーの?と馬鹿にしたような笑みを口許に浮かべた。
「……ご勝手に」
俺の言葉は時任が閉めたドアの音に掻き消された。